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知床の海が育んだ二つの鮭——[鮭児]と[時鮭]、時を外れて生まれた希少な恵み

希少食材

※この記事には広告が含まれています。

気になる商品を紹介していますが、読者の方にとって良い選択になるよう、できるだけ分かりやすくまとめています。

はじめに

知床の海が選んだ二つの特別な鮭

北海道・知床半島沖。
流氷が育てた冷たい海では、毎年必ず獲れるわけではない、特別な鮭が水揚げされることがあります。

一つは、まだ成熟する前の若い個体である【鮭児(けいじ)】
もう一つは、本来の季節を外れて戻ってくる【時鮭(ときしらず)】です。

どちらも人の手で生み出せるものではなく、自然条件が偶然重なった年にだけ姿を現します。
その希少性と味わいから、料理人や市場関係者の間では「出会えたら幸運」と語られてきました。

ここでは、知床の海が育んだ二つの鮭を、それぞれひも解いていきます。

食材概要

【鮭児(けいじ)】

未成熟の若鮭: 鮭児は生後2~3年ほどの若いシロザケで、まだ卵巣や精巣が未発達な状態。このため産卵のために栄養が使われておらず、全身にたっぷりと脂が蓄えられている。

驚異的な脂肪率: 通常の秋鮭の脂肪率が2〜15%程度であるのに対し、鮭児は20〜30%もの脂肪率を誇る。この豊富な脂が、まるで大トロのような食感と味わいを生み出す。

幻の漁獲量: 漁獲されるのは主に10月から11月にかけての短い期間で、世界自然遺産・知床周辺などの特定の海域に限られる。その漁獲量の少なさから「幻の鮭」と呼ばれ、市場では非常に高価で取引される。

アムール川系由来: DNA鑑定の結果、日本の河川生まれではなく、ロシアのアムール川に回帰する群れに紛れ込んだものである可能性が高いとされている。なぜ日本の沿岸で漁獲されるのかなど、その詳細はまだ科学的にも完全に解明されていない神秘的な鮭。 

【時鮭(ときしらず)】

名前の由来: シロザケは本来、秋に生まれた川へ産卵のために戻ってくるが、時鮭は春から夏(4月〜7月頃)にかけて、主に北海道沖などで漁獲される。この時期外れの漁獲から、「時を知らない鮭」という意味で「時知らず」と呼ばれている。

抜群の脂乗り: 産卵期前の若い鮭であるため、身には卵や白子がほとんど入っておらず、その代わりに全身にたっぷりと脂を蓄えている。脂肪率は秋鮭の約3倍以上になることもあり、焼くと脂がしたたり落ちるほどジューシー。

上品な味わい: 脂が多いにもかかわらず、しつこさがなく、上品でまろやかな味わいが特徴。鮭児に比べると流通量は多いが、それでも希少価値が高く、高級魚として扱われている。

銀色の魚体: 産卵期特有の婚姻色が出ておらず、魚体は美しい銀色をしている。

歴史・由来

名付けられる前から特別だった存在

【鮭児】

鮭児は、もともと漁師たちの間でのみ知られていた存在でした。定置網にかかる鮭の中に、ごくまれに混じる「異様に脂のある若い鮭」。

まだ成熟していないため商品価値が低いとされる時代もありましたが、実際に食べてみると、その常識が覆されたといいます。

やがて市場関係者や料理人の間で評価が高まり、「鮭児」という呼び名とともに、特別な価値を持つ鮭として知られるようになりました。

【時鮭】

時鮭(時知らず)は、鮭の食文化が古くから根付く北海道において、「時期外れの美味しい鮭」として古くから知られてきました。その歴史は、鮭漁の歴史と共にあり、特に北海道の郷土料理として定着してきました。

季節外れでありながら、身には豊富な脂が残っており、秋鮭とはまったく異なる味わいを持つことが知られていました。

時鮭は、鮭という魚が持つ「秋に帰る」という生態の例外的な存在として、その「時期外れ」ゆえの美味しさから、長年にわたり特別な食材として人々に愛されてきた歴史があります。

生産工程・漁獲の特徴

育てられないからこそ価値がある

【鮭児】

鮭児は養殖で再現することができません。回遊途中の未成熟個体が偶然沿岸に近づき、定置網に入った場合のみ漁獲されます。

漁獲時期も短く、漁場も知床羅臼沖などに限られるため、市場に出回る絶対数が少なく、非常に高価です。その漁獲量は「1万尾に1〜2尾」程度しか獲れないと言われることが、「幻の鮭」と呼ばれる所以になっています。

【時鮭】

時鮭も同様に、自然の回遊によってのみ得られる存在です。海水温や餌環境などが影響し、成熟が進まないまま初夏に回帰した個体が該当します。

漁獲できるのが春から夏にかけての特定の時期だけに限られるため、希少価値が高い高級魚です。

漁法は主に沿岸の定置網漁で、水揚げ後に脂質や身質を見極めて判別されます。

特徴

味わい・見た目の違い

【鮭児】

味わい最大の特徴は脂肪率の高さ(20〜30%)。全身に均一に行き渡った脂は、まるでマグロの大トロのような舌触りです。

脂が多いのにさっぱりとしており、しつこさがないのが特徴。芳醇な甘みとコクが楽しめ、特に刺身やルイベでその真価を発揮します。

見た目:体長50cm前後と、通常の秋鮭よりも一回り小さく、マグロのような体系。鮭児の持つ脂肪の高さから、所々うろこがはがれているのも特徴の一つです。

【時鮭】

味わい:脂肪率が高く(秋鮭の約3倍以上)、焼くと脂がしたたり落ちるほどジューシーです。鮭児のもつ「とろける」食感とは異なりますが、脂の乗りが抜群で、上品な旨味が特徴です。塩焼きにすると皮はパリッと、身はふっくらと仕上がります。

見た目:通常の秋鮭と同じくらいのサイズ感(体長60cm〜80cm程度)です。こちらも未成熟な状態で漁獲されるため、美しい銀白色の魚体をしています。

生産者の想い

【鮭児】

「鮭児は、狙って獲れる魚ではありません。網に入ったときは、正直こちらが驚くくらいです。」
(北海道・知床沿岸 定置網漁師)

意訳・背景
鮭児は人の技術で生み出した成果ではなく、自然の巡り合わせによって偶然もたらされる存在です。だからこそ、一本一本を丁寧に扱い、無駄にしないことを何より大切にしています。

【時鮭】

「この時期に、これだけ脂のある鮭が揚がると、今年の海は特別だと感じます。」
(北海道・知床沿岸 定置網漁師)

意訳・背景
時鮭は、その年の海の状態を映す“指標”のような存在です。脂の乗りや身質を確かめながら、自然の恵みをそのまま食卓へ届けたいという想いが込められています。

まとめ

二つの鮭が教えてくれること

鮭児と時鮭は、どちらも大量生産とはまったく無縁の存在です。
自然の条件がそろったときだけ現れる、特別な鮭だと言えます。

だからこそ、その一尾一尾には、海と人の営みが重なった価値があるのです。

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● 購入元:[知床三左ヱ門本舗

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● 購入元:[築地お取り寄せ市場

参考文献

種別発行元URL
行政水産庁https://www.jfa.maff.go.jp
学術北海道大学 水産科学研究院https://www.fish.hokudai.ac.jp
市場札幌市中央卸売市場https://www.sapporo-market.gr.jp
生産者知床羅臼漁協https://www.rausu-fisheries.jp

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