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【伊勢いも】と【銀沫】~希少とろろ芋の特徴・歴史を追う~

希少食材

※この記事には広告が含まれています。

気になる商品を紹介していますが、読者の方にとって良い選択になるよう、できるだけ分かりやすくまとめています。

はじめに

伊勢いも──三百年の歴史を抱く「とろろ芋の王者」

銀沫(ぎんしぶき)──岡山・真庭の山間で試行錯誤の末に生まれた“淡雪のような食感”を持つ幻のヤマノイモです。

どちらもすりおろすと、ただの粘りではなく“舌に残る濃密な存在感”を見せ、和食の繊細さを一段と高めます。

この記事では、二つの希少芋の歴史、栽培、味の違い、食べ方、生産者の想いを大切にし、深掘りしていきます。


食材概要

伊勢いも(いせいも)

  • 分類:ヤマノイモ科(ヤマノイモ属の栽培品種)。
  • 産地:三重県多気郡を中心に伝統的に栽培。
  • 特徴:白く粘りが非常に強い。おろすと「おろし器にくっついて離れない」ほどの粘性がある。
  • 出荷期:主に秋〜冬にかけて(目安)。
  • 価値:贈答用としても重宝され、伝統野菜・地域ブランドとして保護。

銀沫(ぎんしぶき)

  • 分類:つくね芋系のヤマノイモ類(地域特産化した品種)。
  • 産地:岡山県真庭市(旧勝山町周辺)。
  • 特徴:すりおろすとアクが少なく、強い弾力と淡雪のようにとろける食感。
  • 出荷期:秋〜春先が中心。
  • 価値:地域の特産品として「幻の山芋」と称されることがある。

歴史・由来

伊勢いもの系譜 — 三百年の伝統

伊勢いもは江戸時代中期(享保期)に記録があるほど古い歴史を持ち、北畠氏の家臣が大和から持ち帰った種芋に由来するという伝承も残っています。

「津田芋」「松阪芋」といった呼称の変遷を経て、明治期に「伊勢いも」として確立され、長年にわたって祝い事の贈答や、地域の食文化に根付く存在でありました。

(生産者の声・意訳)
「親芋が子芋を抱くかのように育つ姿を見て、昔から『親孝行芋』と呼んできた。収穫の年は地域の祭りのような喜びがある。」(生産組合の語りを意訳)

銀沫の誕生 — 地域と技術の結実

銀沫は比較的新しい地域ブランドで、旧勝山地域の生産者、JA、行政、普及指導センターの方々が協力して特産化を目指して育成・普及させた品種。約20年ほどの取り組みを経て特産化した背景があります。生産には手間と技術が必要なため、未だ“幻の山の芋”と呼ばれる所以です。

(生産者の声・意訳)
「はじめは栽培方法の確立に苦労した。土作りや収穫のタイミング一つで品質が変わる。だから丁寧に育てることを続けてきた。」(生産グループの声を意訳)


栽培方法/生産工程

土壌と圃場管理

両品種とも深く耕された肥沃で水はけの良い土壌を好みます。伊勢いもは、櫛田川沿岸など耕土の深い地域が伝統的生産地。良質な土壌が“粘り”と“コク”を育てる要因となる。

銀沫では地元の土壌特性に合わせた改良(堆肥、緑肥、施肥時期の最適化)が行われ、品種特性を引き出すことが重視されています。

種芋と植え付け

伊勢いも:前年に収穫した親芋を種芋とすることが多い(いわゆる親芋から子芋を肥大化させる栽培)。そのため一株あたりの収量効率は低く(親芋の生産量に対して子芋が数倍程度)、これが希少性の一因でもあります。

銀沫:地域で選抜された種芋を用い、栽培マニュアルに従って植え付け時期、支柱や棚の管理を行います。ヤマノイモ類は蔓を這わせるための支持構造や霜害対策が重要です。

肥培管理と防除

有機質肥料、稲わらや堆肥を使った土作りを行う生産者が多いのが特徴。(特に伝統・ブランド化の取り組みでは土壌の保全や薬剤節減が重視されます)伊勢いもではマグカル(石灰・ミネラル)等の施用や機械除草、マルチ栽培を導入する事例もあります。

連作障害に弱く、栽培面積が減少傾向にある背景には栽培負担と病害虫管理の難しさがあり、これが生産量を制約し希少性につながっています。

収穫と選別、出荷

  • 収穫は品種・地域によりますが、秋から冬にかけてが中心。収穫後は傷のないものを選別し、贈答用は箱詰めと説明書を添えるなど付加価値化が行われています。(銀沫も化粧箱等で贈答需要がある。)

特徴(味・香り・サイズ・希少性など)

伊勢いもの“王者”たる所以

・味:深いコクと甘み、強い粘り。すりおろすとねっとりと「おろし器に張りつく」質感が生まれる。これは食材としての存在感を強め、だしや醤油と混ぜたとろろにすると風味が立つ。

・香り:土の甘さと芋の自然な香りがあるが、強すぎない上品さ。

サイズ・形状:握り拳のような塊形、親芋と子芋の形態が特徴。

・希少性:生産面積の減少、連作障害、手間のかかる栽培プロセスにより希少性が高い。伝統野菜・地域ブランドとしての価値が流通価格を支える。

銀沫の“淡雪”と弾力

・味:濃厚でありながら繊細。とろろにしたときの口溶けは「淡雪のよう」と評されることがある。

・食感:アクが少なく強い弾力(粘りとは別の、弾力的な“コシ”)を感じるため、口の中での存在感がある。

・希少性:生産技術の確立が難しく、出荷量が限られているため希少とされる。地域限定の流通が多い。


おすすめの食べ方・レシピ案

伊勢いも

  • とろろご飯(基本) — だし少なめで芋のコクを楽しむ。ご飯にかけるだけで高級感。
  • とろろ椀(温) — 温かいだしに溶かしてやさしく温めると、粘りがふっくらと口に残る。
  • 伊勢いも揚げ(簡易天ぷら) — すりおろして丸めて軽く揚げると、もちのような食感に。塩で食べるのが◎。
  • 伊勢いも茶碗蒸し(アレンジ) — とろろの旨味を卵と合わせるとまろやかな一品に。

銀沫

  • 銀沫とろろご飯(推奨) — アクが少ないためそのまますりおろしてご飯にかけ、海苔や刻み葱で香りを添えると素材の良さが際立つ。
  • 銀沫の冷製ポタージュ(創作) — すりおろしを豆乳やだしで伸ばし、茶こしでこして冷やすと上品な前菜に。
  • 銀沫のふわふわ揚げ(洋風アレンジ) — 少量の小麦粉と合わせてフライに。淡雪のような口当たりが新感覚。
  • とろろ蕎麦(季節感) — 冷たい蕎麦にたっぷりかけ、山葵で引き締めると地域色の強い一杯に。

生産者の声

伊勢いもについて

JA多気郡伊勢いも部会および三重県多気町の生産者への取材をもとにした紹介記事から:

中西さんは「伊勢いもはたくさんの水を与え、不要な水は素早く抜くことが大事。津田地区の土はさらさらで排水性が良く、且つ粘土質も含むので適度な保湿もできることから伊勢いもの生産には最適なんです」 Miyako Hotels

この発言は、伊勢いもの栽培における土壌条件、水管理、伝統的な手法へのこだわりを示すもので、品質と味を守るための生産者の細やかな配慮が伺えます。

また、同記事では、

日々、草抜きなどの手作業が必要な伊勢いも栽培では若手の皆さんが協力して負担の大きい作業をサポートしているそうです。…このまま生産者の高齢化が進むと、伊勢いもの栽培ができなくなると考え、8年前からは多気町役場も加わり「伊勢いも振興プロジェクト」が発足。プロジェクトでは、地元高校生や大学とも連携し、じゃがいも掘り機を伊勢いも用に改良するなどの機械化や、防草マルチシートを取り入れるなど手作業の省力化を実現しました。 Miyako Hotels+1

という説明があります。これにより、「伝統野菜」を守るために、生産者だけでなく地域全体が協力して持続可能な栽培体制を目指している様子が伝わります。

このような“現場の声と取り組み”も、伊勢いもの価値を支える重要な要素です。

銀沫(ぎんしぶき)について

・かつやまのいも生産組合 副組合長 福島康夫 さん(60)が語る:

「珍しいイモがある」と地区住民が取り寄せた数本のヤマノイモを見せてもらった農業普及指導センターの職員が、当時の町長の依頼で新しい特産を作ろうとしていた町の担当者に持ち込んだことがきっかけで栽培が始まりました。 JA晴れの国岡山

このように、銀沫の栽培が「偶然から始まった地域特産化プロジェクト」であること、生産者たちが経験や知見を持ち寄って品種化・特産化に取り組んだことが明かされています。

また、銀沫について紹介する記事では、以下のようにも説明されています:

銀白に輝く滝のしぶきのごとし。食べた人に「山の芋の概念が変わる」とも言わせた「銀沫(ぎんしぶき)」。一般的なヤマノイモは管内各地で生産されていますが、真庭市を中心に「銀沫」が生産されています。銀沫は全国的にも珍しい品種で、試行錯誤を重ねながら、生産者一同が栽培方法を確立して育てあげた、幻のヤマノイモです。 JA晴れの国岡山+1

この言葉は「生産者一同」「作り手の努力」「希少性」「特別な食感・風味」への誇りと自信を強く伝えるものです。


まとめ

伊勢いもは「とろろ芋の王者」としての深い粘りと歴史を、銀沫は「淡雪のようなとろける食感」と地域特産としての希少性を持ちます。どちらも手間と時間をかけて育てられるため、価格は高めに設定されますが、その価値は単なる希少さだけではありません。「食べることで得られる体験」──風味、食感、文化的背景、生産者の手仕事への敬意を包括しています。

特別な食卓や贈答、季節のしつらえに最適な食材と言えるでしょう。

購入案内
● 製品名:伊勢いも
● 価格:掲載なし(リンク先でご確認ください)
● 購入元:[三重県多気町ふるさと納税

購入案内
● 製品名:銀沫
● 価格:掲載なし(リンク先でご確認ください)
● 購入元:[岡山県真庭市ふるさと納税

参考文献一覧

種別タイトル/説明出典(表示)
生産者団体・JA伊勢芋(JAみえなか:紹介ページ)ja-mienaka.or.jp
地域特集記事三百年の伝統野菜 伊勢いも(志摩時間/都ホテル)Miyako Hotels
行政・普及資料伊勢芋(農林水産系地域情報ページ)野菜情報システム
生産者販売ページ丹生生産者組合(伊勢いも紹介)安心食材 | 人と自然にやさしいみえの安心食材表示制度
地域特産紹介銀沫(JA晴れの国岡山・真庭地域特産紹介)JA晴れの国岡山
商品紹介(販売ページ)銀沫(真庭市/蔵元直販 商品ページ例)gozenshu.co.jp
地域グルメ紹介勝山のいも銀沫(地域グルメ特集)美味し国プロジェクト

最後に(編集後記)

伊勢いもと銀沫――同じ「とろろ芋」でありながら、歴史と技術、地域の気候土壌が生み出す個性は異なります。もし機会があれば、ぜひ生産地を訪れて土の香りや生産者の声に耳を傾けてほしいと思います。食材は、そこからさらに豊かな物語を与えてくれはずです。

この記事は、現地生産者の公開情報・JAや地域の紹介資料を参照してまとめました。具体的な品種の詳細については、掲載の公式出典ページをご確認ください。 【ja-mienaka.or.jp

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