はじめに:ラムとマトンの違い

羊肉の基礎知識
まず、羊肉を語るうえで基本となるのが「ラム」と「マトン」の区別。これによって味わいや食感、適した料理法などが変わります。
・ラム:一般に「生後1年未満」の子羊の肉。永久歯が生えていない状態の羊。肉質は柔らかく、脂や臭みが少なく、クセのないマイルドな味わい。初心者にも扱いやすい。
・マトン:成羊の肉。国や地域によって定義は異なるが、多くの日本の説明では「生後2年以上」の羊肉。肉質はやや締まり、風味や香りが強くなる。脂の風味や濃厚な味わい、しっかりとした肉らしさを楽しみたい人に向く。
・ホゲット :ラムとマトンの中間で、「生後1~2年未満 (12–24か月)」の羊肉を指すことがある。ラムほど柔らかすぎず、マトンほど重くない、バランスの良い肉質。特にクセの少なさと適度な風味のバランスを求める場合に選ばれることがある。
日本では、「ラム=子羊、マトン=大人の羊」とざっくりと理解されており、ホゲットという呼び方もあるものの、流通量や認知度は低め、という説明が多いようです。
味の傾向としては、ラムはクセが少なく柔らか、マトンは濃厚でしっかりしたコク。ホゲットはその中間。料理によって使い分けることで、羊肉の魅力を最大限に引き出せます。
信州サフォークと田中テクセル

信州サフォーク
「サフォーク」は、英国原産の肉用種の一つ。頭部と四肢が黒毛短毛で覆われており、比較的大型で赤身が多く、肉質がよいのが特徴。
日本では、特に長野県の旧「羊のまち」地域 (例:信州不動温泉さぎり荘 ) で飼育される「信州新町 サフォーク (信州サフォーク)」が知られており、“幻の羊肉”として高い評価を受けています。
肉質は、羊肉特有のクセを抑えつつ、旨味と脂の甘さ、滋味深さがあるとされ、塩コショウやシンプルな味付けで羊本来の味を楽しむのに向いているといわれています。
田中テクセル
テクセル は、こちらも肉用種の羊。オランダ発祥。筋肉、特にモモの筋肉が発達し、枝肉の歩留まり(※可食部)が多いため、肉用として高く評価されています。
「田中テクセル」は、北海道の 田中牧場 が育てる国産羊肉ブランド。草を中心とした「グラスフェッド飼育」(※牧草地で放牧し、牧草のみを餌として育てる飼育法)を行い、自然に近いやり方で育てられているのです。
日本国内で流通する羊肉の中でも非常に希少で、年間の生産頭数はわずか12~18頭にとどまるとの説明もあります。
肉質はしっかりした赤身で、羊特有の強い香りや脂っぽさを抑えつつ、「軽やかで食べやすい羊肉」として紹介されているブランドです。
3. 歴史

信州サフォークの歴史
日本で羊毛生産が盛んだった時代、長野県の信州新町 (など) では羊の飼育が行われていて、特に戦前〜戦後は羊毛用途が主流でした。
しかし、化学繊維の普及などにより羊毛需要が激減。多くの羊飼育農家はやめてしまい、羊文化は廃れかけます。
そんな中、「肉用種・サフォーク種」を導入し、羊肉用畜産へ方向転換することで、信州新町は “羊のまち” の再起を図った。これが信州サフォークの始まりとされています。
今日では、「信州プレミアムサフォーク」として、国内でも希少で高級な羊肉ブランドのひとつとなっているのです。
田中テクセルの歴史

田中牧場は 1947年に酪農牧場としてスタート。長年酪農を営んできたが、近年になって羊肉生産に取り組み、2023年から本格的に「田中テクセル」のブランド化を開始。
テクセル種自体は肉用種として古くから世界で飼育されてきたが、日本国内で「グラスフェッド (草飼育)」かつ流通量の少ない羊肉として扱われる例は非常に限られており、田中テクセルはその希少性と品質で注目されてます。
したがって、田中テクセルは「日本における国産グラスフェッド羊肉」のパイオニアとして存在しているのです。
特徴
信州サフォークの特徴
・品種としてのサフォークは、肉用羊の代表的な種。顔と四肢が黒く、体は白毛。比較的大型で、赤身が多く、肉質も優れているのが特徴。
・信州サフォークは「臭みが少なく、旨味と脂の甘み、滋味深さ」があるとされ、羊肉特有のクセが苦手な人でも食べやすい。
・また、国産・地元飼育ということで、新鮮さや安心感も。流通量が非常に少ないため「幻の羊肉」と称されています。
田中テクセルの特徴
・テクセル種の肉用種としての特性として、筋肉 (特にモモ) の発達がよく、枝肉の歩留まり(※可食部)が高い。つまり、効率よく肉としての収量を得やすい。
・田中牧場では「グラスフェッド (牧草中心)」による飼育を実践。人工的な穀物中心ではなく、自然の草を主体とした飼育により、羊の香りやクセを抑えつつ、赤身のしっかりした肉質に仕上げています。
・生産量は非常に少なく、年間12~18頭程度と言われています。これにより、希少性が高く、「これまでの羊肉と違う」「軽やかで食べやすい」と評価されているのです。
・味わいは「赤身中心でしっかり、しかし脂や香りは控えめ」というバランス。羊肉に慣れていない人にも受け入れられやすい、と紹介されています。
5. 生産方法
信州サフォークの生産方法
信州新町などでは、かつて羊毛目的で多くの羊が飼われていたが、羊毛需要の低下で羊飼育は縮小。そこから肉用種サフォークへの転換が行われました。
牧場や提供施設 (例:信州不動温泉さぎり荘) では、肉質の良さと食べやすさを重視。出荷前の下処理を丁寧に行い、臭みを極力抑えることで、ラムあるいはホゲットとして提供される場合が多いようです。
しかし一頭あたりの出荷数が少なく、生産量の限界から「予約必須」とされることもあります。
田中テクセルの生産方法
田中牧場では、まず土づくり — 有機肥料を使って草地を整備。そこから良質な牧草を育て、羊たちに与える。飼育の基本は「牧草を主体としたグラスフェッド」。
また、持続可能性 (サステナビリティ) を重視。不要になった搾りかす (醤油かす、ビートかすなど) を一部飼料に再利用し、廃棄物を減らす取り組みも行っているとのこと。
管理は手間がかかるが、その分、羊のストレスを抑え、自然に近い環境で成長させることで、臭みの少ない上質な赤身肉を得ることができます。
なお、年間の生産頭数が非常に少なく (たとえば 12–18頭/年 などという表記もある) ため、入手も困難。これは「希少肉」「国産グラスフェッド羊肉」という付加価値につながっているのです。
主な食べ方

信州サフォークの食べ方
- 多くはジンギスカン (鉄板焼き) として提供されてきた。特に地元の施設では、サフォーク肉を秘伝のタレ (リンゴ、玉ねぎ、くるみなどで作る複雑なタレ) に漬け込んで焼くスタイルが伝統。
- ただし、ラム/ホゲット肉として臭みが少ないため、塩・コショウなどシンプルな味付けで、羊肉本来の旨味と脂の甘みを楽しむ人も多い。
- 焼き加減はやや早め、ミディアムくらいが推奨される場合が多く、柔らかさとジューシーさのバランスがとれる。
田中テクセルの食べ方

- 田中牧場では、ショルダー (肩肉) のスライスをジンギスカン用として提供することがあり、ジンギスカンはもちろん、シンプルな塩・胡椒で焼いて食べるのが推奨されている。
- サーロインなど赤身と脂のバランスが良い部位は、ソテーやローストにも向く。極厚カットなら、ジンギスカンの主役としても十分な存在感。
- また、骨付きの部位 (スペアリブ) をBBQ やオーブンで豪快に調理するスタイルも紹介されており、部位ごとの味わいの違いを楽しむことができる。
- 田中牧場のスタッフや運営者からは、「羊肉が苦手な人でも食べやすい」「軽やかでクセがなく、いくらでも食べられそう」といった評価がある。
生産者の声
信州サフォークの関係者たちの声
・地域の取り組みとして、かつての羊毛需要減少 → 肉用種への転換によって、羊と羊肉文化を守ろうという動きがあった。サフォーク導入とともに再起を図った。
・提供施設では、臭みを抑えつつ羊の旨味を活かすため、徹底した下処理を行っており、「ラムやホゲットならではの食べやすさ」と「羊肉ならではの滋味深さ」を両立する肉を目指している。
・とはいえ、生産量が少ないため、安定供給が難しい。予約や取り寄せが必要になる場合も多く、一般流通にはあまり乗らない “特別な肉” という位置づけ。
田中テクセル (田中牧場) の声
・田中牧場は酪農のノウハウを活かし、土づくりからこだわることで、草の栄養価・質を高め、それを羊に与える「グラスフェッド飼育」を実践。これは「人と動物と自然が共存できる環境づくり」を目指すための取り組み。
・牧場主 (代表) のインタビューでは、「これまでの羊肉とは違う、軽やかでクセのない羊肉を届けたい」「羊本来の味わいや風味を活かしたい」という強い意志が語られている。
・実際に食べたスタッフや運営者からは、「爽やかな味わい」「いくらでも食べられそう」「ラムが苦手な人にもおすすめ」といった評価が多く、「初めて羊肉を食べる人」「クセの強さが苦手な人」に特に好評。
まとめ

「信州サフォーク」と「田中テクセル」、どちらも日本国内で流通量が非常に少ない、希少な国産羊肉ブランドですが、それぞれ異なる魅力があり、目的や好みによって選ぶ価値があります。
・信州サフォーク は、古くからの羊飼育文化の中で生まれ、羊毛から肉用羊への転換で復活を果たした“伝統と地域性”を感じさせる羊肉。ラム〜ホゲットあたりを使い、臭みを抑えつつ旨味と脂の甘さ、そして滋味を感じる上品な羊肉。ジンギスカンや塩焼きなどシンプルな調理で本来の味を楽しむのに向いています。
・田中テクセル は、現代の食と環境を見据えた「グラスフェッド」「ナチュラル」な飼育方法による羊肉。しっかりとした赤身、クセの少なさ、そして軽やかで万人受けしやすい味わいが特徴。初めて羊肉に挑戦する人や、羊肉の臭みが苦手な人にもおすすめ。
どちらが「良い」と言うのではなく、使う場面や目的 (ジンギスカン、焼き肉、ソテー、ロースト、BBQ など) によって使い分けるのが理想です。また、希少性が高いため、入手や予約が必要な場合もあるので、気になる方は早めにチェックすることをおすすめします。
購入案内(非アフィリエイト)
● 製品名:信州サフォーク
● 価格:掲載なし(リンク先でご確認ください)
● 購入元:下記参照
購入元が特定できないため下記を参照して下さい。
・ジンギスカン専門店: 長野市信州新町には「ジンギスカン街道」と呼ばれる地域があり、タレに漬け込んだジンギスカンを提供している専門店があります。これらのお店で、持ち帰り用の肉やタレを購入できる可能性があります。
・精肉店: 信州産のサフォークを扱う精肉店が、店舗やオンラインで販売している場合があります。
・道の駅など: 地元の道の駅やアンテナショップで、限定的に販売されることがあります。
・インターネット通販: 公式オンラインストアはありませんが、一部の楽天市場などのモールに出店している店舗で、信州サフォーク肉(ジンギスカン用など)が販売されていることがあります。
購入案内(公式/非アフィリエイト)
● 製品名:田中テクセル
● 価格:掲載なし(リンク先でご確認ください)
● 購入元(公式):[田中牧場]
参考文献
| 出典 | 内容 |
|---|---|
| 羊のラム・ホゲット・マトンの違いや特徴について(登米産仙台牛専門店さとう) | ラム/ホゲット/マトンの月齢と呼び方の区別。【とめ牛】 |
| ラムとマトンの違い (羊肉豆知識) | ラム (生後1年未満)、マトン (2年以上) の定義。肉質や風味の違いについて。【羊肉焼肉平和園 羊匠亭 -デリッシュキッチン】 |
| 羊肉 (食肉情報) | ラム/マトンの違いや流通の現状 (国産自給率の低さなど) に関する基本データ。【畜産Zoo鑑】 |
| スーパーブランド羊、幻の信州産サフォークとは? (さぎり荘関連) | 信州サフォークの品種情報、肉質・特徴、希少性、飼育・提供方法など。【sagirisou.comるるぶWeb】 |
| 信州新町 サフォーク羊 (地域観光サイト) | 羊肉の栄養価や、地元牧場での飼育、地域の取り組みについて。【nagano.mytabi.net】 |
| サフォーク (羊の品種解説) | サフォーク種の起源、特徴、海外での評価など。【脱サラひつじ】 |
| 田中牧場公式ページ | 田中テクセルの生産背景、グラスフェッド飼育の考え方、年間生産数など基本情報。【高級・希少肉の、専門店「肉道」】 |
| 田中テクセル (肉道) 商品紹介ページ (ショルダー、サーロイン等) | 部位ごとの特徴 (赤身、脂、食感) やおすすめの調理法 (ジンギスカン、ソテーなど) に関する説明。【高級・希少肉の、専門店「肉道】 |



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