● 会津地鶏・伊達鶏・川俣シャモ|福島が誇る三大地鶏の魅力を徹底紹介
福島県には、全国でもトップレベルの評価を受けている三つの地鶏があります。
- 会津地鶏(純系の在来種)
- 伊達鶏(家庭料理に合う万能型)
- 川俣シャモ(深い旨味と出汁力)
同じ「地鶏」という言葉でも、
それぞれ歴史も味も飼育方法もまったく違います。
ここでは、三つの地鶏の 特徴・希少性・生産者のこだわり・歴史・料理との相性 をまとめて紹介します。
● 会津地鶏(あいづじどり)

●一度は絶滅しかけた純系鶏
● 歴史
会津地鶏は、古くは平安時代に平家の落人が愛玩用に会津に持ち込んだのが始まりと言われており、500年以上も前から他の鶏との交配が行われずに会津地方に根付いていた純粋種です。
しかし、体が小さく飼育の担い手も少なくなったことで絶滅寸前に。
機関の調査の結果、昭和62年に固有種であることが判明し原種として増殖していきました。
その後、地域の人々が大切に純系を守り抜き、奇跡的に復活した“幻の地鶏” として知られています。
そして令和7年3月18日にGI(産品国の地理的表示)に登録されました。
●生産者の思い
会津地鶏は成長スピードが遅く、一般のブロイラーが50日ほどで出荷されるのに対し、 会津地鶏は120〜140日以上、手間も飼料代も倍以上かかります
「効率」を優先する現代の畜産では扱いにくい品種です。
それでも生産者さんは、
- この土地に残された“文化そのもの”を未来に繋ぎたい
- 会津の自然のなかで、のびのび育てた本物の味を残したい
という思いから手間のかかる平飼い飼育を続けています。
ゆっくり育つぶん、肉にぎゅっと旨味が詰まるのもその努力の証です。
● 特徴:濃い旨味・強い弾力・甘い脂
会津地鶏はゆっくり育つ品種のため、
- 肉の繊維が細かい
- 脂の融点が低く、口溶けが良い
- 噛むほどに出汁のような旨味がにじむ
という、まさに “地鶏の醍醐味” を凝縮した味わいです。
● おすすめ料理
- 炭火焼き
- 焼き鳥
- ソテー
- コンフィ
噛むほどに強い旨味が出るので、シンプルな調理ほど味の違いが際立ちます。
● 伊達鶏(だてどり)

●地域の食卓を支えるために誕生
● 歴史
伊達鶏は比較的新しいブランドで、
「ほどよい弾力」「家庭でも使いやすい鶏肉」を目指して開発された地鶏規格のオリジナル品種。
フランスのブレス鶏に感銘を受け、試行錯誤を重ねて現在の伊達鶏が生まれました。両親共に赤鶏という“希少な赤系の銘柄鶏”です。
地元・福島の食文化を支える鶏として人気が高く、非常に多くの飲食店から信頼されています。
● 生産者の思い
伊達鶏の生産者の方々は、
“地元が誇れる鶏肉を安定して届けたい” という気持ちを大切にしており、
- 鳥の密度を低く保つ
- 温度・湿度を毎日細かく管理
- 餌の配合も定期的に見直す
など、安定した品質を保つための地道な作業を続けています。
家庭料理で扱いやすい柔らかさと、しっかりした旨味は、そういった丁寧な仕事の積み重ねの結果です。
“扱いやすく、毎日食べられるブランド鶏を”という考え方が、伊達鶏の味を生み出しています。
● 特徴:やわらかくてジューシー、使いやすい
伊達鶏の魅力は 汎用性。
- 火を通しても硬くなりにくい
- 旨味のバランスが良くクセがない
- 唐揚げ・ロースト・煮物など何でも美味しい
毎日の料理に使いやすいのが人気の理由です。
●おすすめ料理
- 唐揚げ
- チキンソテー
- ローストチキン
- トマト煮込み
汎用性が高いため、“やわらかさを活かした料理”と相性抜群です。
● 川俣シャモ(かわまたしゃも)

●シャモの魅力を残しながら“食べやすく”改良
●歴史
川俣シャモは、
「シャモの力強い旨味を、もっと食べやすく」
という想いから数十年かけて改良を重ねて誕生したブランド鶏。
江戸時代に旦那衆の娯楽であった闘鶏が川俣シャモの起源とされています。
純系のシャモに大型赤鶏レッドコーニッシュを交配して生まれた鶏に、非常に丈夫で病気にも強いロードアイランドレッドを交配して現在の川俣シャモが誕生しました。
元々シャモは肉質が固く育てるのも難しい品種ですが、
川俣の生産者たちは研究を重ね、
シャモ特有の旨さはそのままに、家庭でも扱いやすい肉質へと進化させました。
現在は全国の料理人からも「だしの力が段違い」と評価される存在に育っています。
そして令和4年3月31日にGI(産品国の地理的表示)に登録されました。
●生産者の思い
シャモは繊細で、飼育環境の変化に弱い鳥です。
そのため生産者さんは、
- 広い飼育スペースを確保
- 運動量をしっかり確保
- 風通し・湿気の管理を徹底
- 成長が遅いぶん長期間の世話が必要
と、とても手間のかかる飼育を続けています。
「急がず、無理に太らせず、自然に寄り添う」
時間もコストもかかりますが、そんな育て方をしているからこそ、川俣シャモの深いコクが生まれます。
● 特徴:力強い旨味と深いコク
川俣シャモは、とにかく「出汁」が凄い!
- 脂が香り高く深い
- 旨味成分が豊富
- 肉の繊維がしっかりしている
鍋にしただけでスープの香りが立ち上り、食材の味を引き上げる力があります。
● 4. おすすめ料理
- すき焼き
- 清湯系鶏だしラーメン
- 親子丼
- 水炊き(白湯にしてもgood)
特にお鍋・出汁系は“別格の美味しさ”です。
【会津地鶏】【伊達鶏】【川俣シャモ】の主な違いを比較
●3つの地鶏を使った料理レシピ案
● 1. 会津地鶏のソテー(旨味をダイレクトに楽しむ)

【材料】
- 会津地鶏もも肉 … 1枚
- 塩 … 適量
- ブラックペッパー … 少々
- サラダ油 … 少々
【作り方】
- 鶏肉の余分な水分をふき取り、塩・ブラックペッパーをふる(岩塩などがおすすめ)
- フライパンにオイルを入れて皮目から焼く(シンプルなサラダ油等でOK)
- 弱火でじっくり10分程度(皮目に美味しそうな焼き色が付くまで)
- 裏返して数分焼けば完成(キッチンペーパーで余分な脂を取りながら)
➡ 噛むほどに旨味が出て、驚くほど美味しい一皿。シンプルイズベスト。
●2. 伊達鶏のジューシー唐揚げ(柔らかさが活きる)

【材料】
- 伊達鶏もも肉 … 300g
- にんにく・生姜 … 各小さじ1
- 醤油 … 大さじ2
- 酒 … 大さじ1
- 片栗粉 … 適量
【作り方】
- 一口大に切り、調味料をしっかりもみこむ
- 20分おく
- 片栗粉をまぶして高温でカラッと揚げる(170℃~180℃程度)
➡ 外はカリッ、中はふっくら。家庭向けに最適。(完全に火が通る前に一度油から上げ、10分くらい休ませた後に二度揚げするとジューシーに仕上がります)
● 3. 川俣シャモの“だし濃厚”親子丼

【材料】
- 川俣シャモむね・もも … 150g
- 玉ねぎ … 1/2個
- 三つ葉 (刻みのり)…少々
- 卵 … 2個
- だし … 100ml(水にかつお出汁の素、もしくは白だしでもOK)
- 醤油・みりん・砂糖 … 各大さじ1
【作り方】
- 鶏肉と玉ねぎを煮る(鶏肉は一口大に、玉ねぎは3ミリ程度のくし切り)
- 鶏肉に火が通ったら、溶いた卵を半分加えてとろりとさせる
- 最後に追い卵でふわっと仕上げ、三つ葉を添える
➡ 出汁の香りが強く、普通の親子丼とは別物の深い味わい。
●まとめ

「福島の地鶏」とひとことで言っても、
会津地鶏・伊達鶏・川俣シャモは、それぞれ歴史も味わいもまったく違います。
- 会津の土地に残った“奇跡の希少在来種”
- すべての料理に寄り添う、“優しい肉質の伊達鶏”
- 職人が誇りを持って育てる、“深い旨味の川俣シャモ”
どの鶏も、背景には生産者さんのたくさんの手間と愛情があります。
食べ比べてみると、味の違いがとても楽しいですよ。
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主な参考文献・参考サイト
| 鶏の種類 / 共通 | 出典/概要 |
|---|---|
| 会津地鶏 | ・「会津地鶏」が 農林水産省 の地理的表示(GI)指定を受けた報道。特徴として「肉質はきめが細かく弾力があり、コクとうま味に優れている」と紹介。 (みんぽう) ・福島県庁の養鶏関連資料で、会津地鶏を銘柄鶏として紹介。柔らかさ、良質な脂・旨味・クセの少なさが特徴とされている。 (福島県) |
| 川俣シャモ | ・農林水産省によるGI登録情報。登録番号 118、福島県伊達郡川俣町が生産地であることなど公的データ。 (農林水産省) ・脂肪含量や脂肪酸組成などの肉質の特徴、「脂が乗って食味が良く、脂肪酸バランスに優れる」という説明。 (地理的表示産品情報発信サイト) ・「ふくしま三大ブランド鶏」のひとつとして紹介され、伊達鶏・会津地鶏とともに県が推進するブランド。 (3dori-fukushima.com) |
| 伊達鶏 | ・「ふくしま三大ブランド鶏」に含まれるブランド鶏として、公式に紹介されている。柔らかくジューシーで、家庭料理や唐揚げなどに向く旨味と扱いやすさがウリ。 (3dori-fukushima.com) ・「三大鶏」の一角として、2025年にも「三大鶏フェス」で紹介されている例。 (福島テレビ) |
| 「三大地鶏」ブランドとしての共通性 | ・ ふくしま三大ブランド鶏推進協議会 による公式サイト。会津地鶏・川俣シャモ・伊達鶏を三大ブランド鶏として認定し、特徴や産地、流通について説明。 (3dori-fukushima.com) ・ 最近も「三大鶏フェス」が開催されており、地域・行政・生産者による連携やブランドの認知拡大が図られている。 (福島テレビ) |



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